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Great Trip [オーロラ撮影]

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オーロラ撮影が目的の今回のツアーにおいては、夜の過酷な撮影に備え、当初昼は体力温存のためにゆっくりしていようかと考えていたが、最小催行が4名の犬ぞり操縦体験に我々のグループから3名が参加すると言う。まあ、こんな機会もめったにないだろうとお付き合い程度のつもりで参加したのだが、これが想像以上に感動的なオプショナルツアー、いや、"Greate Trip"であった。

今回この犬ぞりツアーにカメラを持って行かなかったため、写真は全く無かった。そのため、本記事内で使用している写真は全て、同行された大阪の写楽さんに写真を提供していただきました。

遅く起きたため食事もとらぬまま、午後1時にホテルロビーへと集合し向かった先は、
BECK'S KENNELS
犬ぞり世界ランキング3位のBECKさんの経営する犬舎である。

まずは屋内でしばし出発の時を待つ。予想以上に寒いとの説明があったので、フェイスマスクを借りた。

そして出発の時が来た。2人づつのグループに分かれ一台づつのそりに乗る。一人はそりに座り、一人が操縦する。私は年配の方とのペアだったので、まずは私が操縦することにした。

BECK'Sのスタッフによりそりの準備が行われる間、これからお世話になる犬たちを見て回った。

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犬ぞりの犬は、ハスキーなど大型の犬が多いのだと思っていたが、ここの犬たちは予想以上に小さく、しかもこんなにもかわいい目をしていた。こんなにも小さな犬たちが、たった6頭で大人二人をそりに乗せて曳くというのだから、なんだか可哀相な気もした。
しかし実のところ、彼らは走りたくて仕方が無いようだ。スタッフがそりを準備している間もまったく落ち着かないその姿は、早く準備しろと言っているかのようにも見えた。

この6頭の犬たちはそれぞれに役割が決まっているらしく、やはりリーダーは先頭につながれるのだと言う。このリーダーが行く方向をしっかりと理解していて、素人の我々を何の不安も無く目的地へと運んでくれた。それでも準備している間は、今日の部下はどんな奴がつながれるのだろうかと、少し心配そうに見つめていた。なんだか人様の世界の中のどこかで見たような光景に感じられて、苦笑せずにはいられなかった。

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実はこの時点では、今回の犬ぞりツアーがどのようなところを回るのかさえも聞いていない、ある意味ミステリーツアーだ。その上、意図していることなのか解らないが、そりの操縦方法もほとんど教えてもらっていない。”こっちへ来い”と、女性の調教師が私にそりの方へ来るように促す。

”ここに足をかけて、ここを手で持って....ブレーキはこれだから...OK...Go!Go!Go!”

犬たちは彼女の”Go!”の掛け声と共に思い切り走り出そうとしているが、そりはびくともしない。どうしていいかわからない私に、”出だしは人間がアシストしてあげるのよ!”と彼女が叫んだ。訳もわからずそりを押しながら全速力で走ると、犬ぞりらしいスピードになったのでそりに飛び乗った。それはスタートで地面を蹴ってスケボーに乗る時のあの感覚にどこか似ていた。犬たちはどんどん雪原へと走って行くが、なにせ私たちは行き先を知らない上、後ろを振り返っても誰も来ない。この大雪原に我々二人だけだ。わずかな不安を感じずにはいられなかったが、犬たちの力強く確かな足取りに、その気持ちも次第にやわらぎ景色を楽しむ余裕も出てきた。

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こんな凍りついた湖の大雪原を、”何の問題も無いよ”と言わんばかりに、犬たちは自信ありげに突き進んでいく。

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道程はこのように平坦な雪原ばかりでなく、突如5mほどの土手を越えなくてはならないところも現れる。当然犬たちのアシストが必要と感じ、タイミング良く飛び降りてそりを押す。すぐに下りが現れるのでまた飛び乗るが、そのままではそりの滑り落ちるスピードが速いので、犬たちにぶつかってしまいそうになる。これを防ぐため、適度にブレーキをかける。これを繰り返すうちに、どうやら彼らがそりを引く綱に一定のテンションをかけて走ることが犬たちにとって都合が良いのだろうと感じた。確かに最初の登り坂であまり押してあげられなかった時、”ちょっと勘弁してよ!”と言わんばかりにリーダー犬がこちらを振り返っていた。

しばらく大雪原を走っていると、後ろの方からすごいスピードで追いかけてくる2台のスノーモービルが目に入った。我々の少し前で止まると犬たちを止め、操縦を交代しろとの指示。今度はそりに座って景色を楽しむことが出来ると思ったが、走り出してみると、立ってそりを操縦している時はそれほど感じなかった寒さが、座っているそりの上は凍りついた湖面により近いためか、強烈な寒さ、いや痛さが容赦無く襲い掛かってきた。それでも力いっぱいの声を上げて犬たちを励まながら、少しでも寒さを忘れるようにした。

30分近く走っただろうか、先回りしていたスタッフが犬たちを止めると、そこは湖畔のテントの前だった。皆でストーブのあるこのテントへと入り、しばし暖を取った。スタッフがコーヒーを入れてくれたコーヒーの味は決しておいしいと言えるものではなかったが、この強烈な寒さの後の暖かい飲み物はとてもありがたかった。

ここでBECKさんとその弟子の女の子と、しばし楽しく語り合った。

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彼女はフランスから来て、BECKさんに弟子入りしているのだと言う。朗らかで、とても楽しい人だった。
犬ぞりについてや、Yellow Knifeでの生活など、色々と話を聞いていると。突然BECKさんが、

”そうだ、夕べのオーロラはすごかったなぁ。あんなに真っ赤になったのは生まれてこのかた1、2度くらいしかなかったなぁ”

と言う。
昨晩我々が見たオーロラは、まずまず良いコンディションだったと思えるものではあったが、強烈な赤が見えたとはにわかに信じがたい。詳しく聞いてみると、それが現れたのは我々が丁度バスで移動している最中であった。バスの中でうとうとしている我々は、すごいものを見逃したのかもしれない。

ひとしきり休憩した後、今度はスノーモービルを体験してみることになった。後ろにスタッフが乗って、湖を一周する。映画ダイ・ハードで見たようなスピードには程遠いものの、バイクに乗る私にとって、なるほどスノーモービルもとても楽しい乗り物だと実感した。

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こうして目的地であった湖畔のテントでの楽しい時間はあっという間に過ぎ、出発地へ帰ることとなった。
帰りもまた犬たちは、自らの進む道を確信しているような力強い足取りで我々をスタート地点まで連れて行ってくれる。途中雪原だけでなく、このような森の中の道もあり、最高の気分で北の大地を走り抜けた。

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<づつく>

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コメント 10

Kimi

犬ぞりらしいスピードになったのでそりに飛び乗った!!!(@_@)
へぇーー、そんな風にして乗り込むんですね!!
コツをつかむまで難しそう…。
土手もあったり、森の中も走るなんてとっても楽しそうヾ(≧∇≦)ノ
雪景色の中を走るのって爽快でしょうね(^^)
関野吉晴さんのグレートジャーニー(テレビの)を思い出しました♪
あの番組すごい好きなんです(^^)
シベリアを犬ぞりで横断していたのがすごく印象に残ってます。
by Kimi (2008-10-31 00:05) 

IsPhoto

Kimiさん
コツをつかむ間もなく、あっと言う間に走り出した....という感じでした。
最初はホントにちょっと心配でしたが、それでもとてもよく調教された犬たちのおかげで、とても楽しいツアーになりました。
犬ぞり楽しいですよ。特に操縦して初めて、犬たちと一体になった感じが味わえてとても達成感があります。
by IsPhoto (2008-11-05 21:50) 

テレマーカー

犬ぞり、楽しそう~(^^
モービルは・・・、余りいい思い出がありません・・・。
八ヶ岳の小屋では荷揚げに使っているので実用上としていいのですが、我が物顔で傍若無人に走り回るやからを見てから、嫌いになりました・・・。
本来は雪上ではとってもいい乗り物なんですがね・・・。
そうそう、ウェアー。
アンダーはジオラインとありましたが、あれ、乾きはいいので山スキーで使ったら、かえって気化熱を奪うのか、汗で濡れてしまうと物凄く冷えます。(疲労凍死するかと思いました・・・)
濡れさえしなければ(少しの汗なら)、とっても暖かでいいので、ゲレンデスキーとか汗をかかない寒冷地用途では今でも使っていますけどね。
山スキーではメリノウールのアンダーを使っています。最近はモンベルからも出ていますね。
汗濡れしそうな場合にはそちらがお勧めです。濡れても冷えにくいですよ(^^
by テレマーカー (2008-11-06 05:13) 

IsPhoto

テレマーカーさん
スノーモービルは、もっと軽快なのかと思っていましたが、重量級オートバイのような挙動でした。雪の中で実用的に走るには、やはり良い乗り物なんでしょうね。なるほどジオラインはそういうデメリットがあるんですね。
オーロラ撮影ではあまり汗をかくほど運動量がないからかもしれませんが、ジオラインはなかなか快適でした。着た瞬間はひんやりしますが、それ以降は肌触りがよく、張り付く感じも無いのがなかなか良かったです。
メリノウールのにしようかとも思ったのですが、ちょっとだけかさがあるように思えたので、パラグライダーの時にも使うかも....と思って薄い動きやすいものにしました。
なによりあちらでレンタルしたウェア&ブーツがすごくて、これに助けられました。ウェアについてはまた書いてみたいと思います。

by IsPhoto (2008-11-08 23:09) 

HAL

寒い中での動きがそのまま写真に閉じ込められてるようです!!

by HAL (2008-11-17 00:35) 

IsPhoto

HALさん
写楽さんも喜ばれると思います^^
コメントありがとうございます。
by IsPhoto (2008-11-18 00:48) 

hidens

すごーい。寒そう、犬、可愛い~マロ眉毛でキリッとして。
大雪原を走る、気持ちよさが伝わってきますね。

by hidens (2008-12-30 11:37) 

IsPhoto

hidensさん
ありがとうございます。
-20℃以下でしたので、かなり寒かったですが、操縦しているときは真剣で、意外と寒さを感じませんでしたよ。^-^
でも、操縦交代して座ったとたん.....ひー!って感じでした。



by IsPhoto (2008-12-31 20:10) 

kazz

今更な訪問になってしまいましたが、いやぁ〜素晴らしい体験をされてますね〜!
写真で見る分には気分最高ー!って感じです(^^)
その寒さに耐えられるか自信ないですけど(^^;
スノーモービルを運転してるのがIsPhotoさんなんですよね?
カッコイイ(^_-)☆
1枚めの写真が最高にカッコイイです。
IsPhotoさんの写真も見たかったな☆
by kazz (2009-03-04 00:31) 

IsPhoto

kazzさん
まっしぐらに疾走してくれる犬たちと一緒に雪原を突き進むので、寒さも忘れますよ!
残念ながらモービル運転しているのは私ではありません。
この頃はテントの中でBeckさんと楽しく語り合っていました。
でも、私も乗りましたよ!
う~ん、行く前は、こんなに楽しく、そして撮りたいと思えるアクティビティと思わなかったもので....カメラ持っていかなかったんですよ。
でも人の写真をレタッチしたり、レイアウトしたりするのって、あまり無いことだったので非常に楽しかったです。写楽さんありがとう!
by IsPhoto (2009-03-04 21:58) 

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