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サマーハウス - Denmark [欧州旅行2009]

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前記事から時間が経ってしまいましたが、欧州旅行についてまた徐々につづってみようと思い、あらたに書くことにしてみた。

 魚市場を出発し、途中小さな街のスーパーでお土産のケーキを買い、Jさんの義理のお父さんのサマーハウスへ向かった。 彼とはもちろん面識は無く、今回初めてお会いするので少し心配ではあったが、彼は私たちをとても暖かく迎えてくれた。
 ここデンマークでは、サマーハウスと呼んでいるいわゆる別宅を持つ人が多くいる。別宅(別荘)と言うと、なんだかとても贅沢な感じがするが、別段そうでも無いのだと言う。そしてサマーハウスを建てたい土地だけを確保したら、週末の度にやって来ては、コツコツと自ら建ててしまう人も多いそうだ。

 
SummerHouse2.jpg

 
 サムスー海に面した湾に位置する海辺に、彼のサマーハウスはあった。海岸に出てみると、季節はまもなく冬に向かおうかというい時期だったために、カテガット海峡から吹きつける強い風で飛ばされそうになるほどだった。それでも夏になるとやさしい風が吹き、散歩をするにはとても気持ち良いのだそうだ。周辺はやはりサマーハウスが多く、週末の午後であったこともあり、それぞれの庭ではサマーハウスでのひとときを家族で楽しむ光景が見られた。一つとして同じ形の家が無いことからも、皆思い思いに家を”自作”しているようだ。夏の時期は3週間以上もここに滞在する人もいるのだと言う。この国では3~4週間の夏休みを取るのは一般的だ。

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 お父さんの家におじゃまし、リビングのインテリアを見て驚いた。とても落ち着いた素敵なインテリアだったからだ。もちろんサマーハウスであるから、年間を通じての滞在日数は自宅に滞在しているのに比べるとずっと少ないはずだ。それでも、サマーハウスとは言え名作椅子がそこここに配置され、非常にセンス良くまとまっていた。

 コーア・クリントの名作サファリチェアが配置されたリビングスペースや、ヤコブセンのアントチェア。いずれも非常に高価なイメージではあるが、とても自然に配置されているところが驚きだ。もちろん彼はプロのインテリアコーディネータであったわけでもなく、普通の会社勤めの人だったそうだ。こういうところからも、デンマークの人の家具に対する思い入れの深さを感じる。
 日本でも良く見かけるアントチェアだが、3本足のものは初めて見た。座ってもよいか訪ねると、”ひっくり返る人が多いから気をつけなさい”と忠告してくれた。3本足はガタガタしにくい半面、転びやすいからだ。

SummerHouse1-2.jpg

 
 そして窓辺にあるお父さんのお気に入りの場所には、ブルーノ・マットソンのエヴァが置かれていた。昼は窓からのやさしい光で、夜はテーブルの上のレクリントに照らされるやさしい光で、ここに座って本を読むのが最高に充実した時間なのだと言う。
 ショッキングピンクのブランケットがあまりに強烈なコントラストを生んでいたのがややもすると悪趣味にも見えるかなと思っていると、私のその視線の先を読んだJさんが、”やっぱりお前もそう思うか?バランスが悪いからやめとけと言っているんだが...”と言っていた。しかし当のお父さんはこのブランケットに特別の思い入れがあり、手放せないのだと言う。家の中にいつまでもそこで過ごしたいと思えるお気に入りの場所があることは、なんだかとてもうらやましかった。

 お父さんに写真を撮っても良いか聞くと、どこでも好きなだけ撮ってくれと言う。彼はこの家を自慢げに語るわけでは無いが、彼自身が作り上げたこの家と、これまた自身がアレンジしたインテリアにはとても自信を持っているのだということは容易に想像できた。
 そして、彼のその気持ちさえも写真に収めたくて、様々な角度から撮らせて頂いた。


 家には、そこに住まう人の夢が詰まっているものなのだと今までも分かっていたはずなのだが、このときの撮影以降、特にその思いを強くすることとなった。
 そしてこの時に撮った写真がきっかけで、帰国後も建物の撮影をすることが多くなったのだった。

参考:

ブルーノ・マットソン(Bruno Mathsson) Eva 1933
http://www.bruno-mathsson-int.com/

コーア・クリント(Kaare Klint) サファリチェア
http://www.rudrasmussen.com/own-furniture-collection/easy-chairs/the-safari-chair/

アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen) アントチェア
http://www.fritzhansen.com/jp/ant-chair-3100-3-legs-stackable

レクリント
http://www.leklint.dk/

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コメント 10

ぱぱくま

ご無沙汰しています。暑い日が続いてますがお元気でしたか?
とても居心地の良さそうなお宅ですね。木のもつ優しさと
落ち着いた雰囲気とが融合してここはリラックスできそうですね~。
暮らす空間だからこだわりたいですよね。
いつかは自分もこういう家を建ててみたいです♪
by ぱぱくま (2011-08-16 00:41) 

cjlewis

素敵ですね。
木の温もりを感じる落ち着いた空間に
アントチェアが、すんなり馴染んでいるところは
さすが、と思ってしまいます。
何かをしに行くためのサマーハウスではなく、
何もしないことをしに行く場所ゆえ、
こんな空間づくりができるのかもしれないですね。
(お国柄とか、持ち前のセンスが
大きく影響しているのはもちろんですが、、、)

ストックフォルムに住んでいる友人が、
中流以上の大半がサマーハウスを所有している
と言っていましたが、彼女の場合は、
家族揃って、期間を決めて出かけるというより
家族ひとりひとりが自分の都合で訪れ、
現地で合流することが多く、
家族全員揃うことあり、1人だけになることあり、
誰かが友人を連れて来て大人数になることありの
3~4週間だそうです。

by cjlewis (2011-08-17 12:44) 

IsPhoto

ぱぱくまさま
ありがとうございます。
ほんと、私もいつかこういう家を持ちたいと思いました。
家でリラックスできるというのは大事なことですね。

by IsPhoto (2011-08-19 04:41) 

IsPhoto

cjlewisさん
コメントありがとうございます。
スウェーデンもそうなんですね。
前の素敵なおばあちゃんの記事の時にも感じましたが、家族が縛られすぎず、それでいて離れ過ぎるわけではないといった、彼らにとってはちょうどいい距離感を持っているような印象を受けました。
日本とは家族の在り方が根本的に違うのでしょうね。

by IsPhoto (2011-08-19 04:43) 

カンクリ

シンプルなところが何気にお洒落で良いですね。(^^)b
こういうセンスは見習わなくてはならないなぁ~と思いつつ・・。(^^;
海岸の風景がまた格別ですね!
by カンクリ (2011-08-21 11:12) 

IsPhoto

カンクリさん
デンマークの人の家は、シンプルなインテリアの
所が多いように感じます。
それでもシンプルな北欧デザインの中に、ひとつだけ
アクセントで重厚なアンティークを配置したりと
インテリアに対する深い想いを感じますね。
いつ行ってもとても勉強になり、刺激を受けて帰って来ます。

by IsPhoto (2011-08-26 08:06) 

雅

IsPhotoさん、先日はありがとうございました。
ブログでは色々書いてますが、初めて会う方だとなかなかまともにしゃべれない方なので、イメージが違ったかもしれませんね。
また沖縄にお越しの際にはぜひtoricoへ行ってください。
by (2011-08-27 13:14) 

IsPhoto

雅さん
先日は、突然失礼しました。
雅さんの記事の写真を見ていて、toricoとてもおいしそうだったので、沖縄滞在も最終日だし、ぜひ!ということで行きました。ホテルもロワジールだったので、比較的近かったですし....
記事通りのおいしさでびっくりです。またぜったい行きたいです。
お店の皆様、そしてお話したMさんにもよろしくお伝えください。
また次回訪問時にはぜひ伺います。エアーフェスタが開催されそうならその時に沖縄行こうかと思っています。

by IsPhoto (2011-08-27 19:03) 

BlackTiger

素敵なログハウスですね~
こんなところでゆっくり過ごしたいですね。
by BlackTiger (2011-09-07 22:47) 

IsPhoto

BlackTiger さん
本当に居心地のいい空間でした。
ここで好きな音楽聞きながら、本が読みたくなりました。

by IsPhoto (2011-09-08 23:41) 

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