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ウェアは重要 [オーロラ撮影]


フィンランド北部 ラップランド サーリセルカ (気温-15℃)

オーロラ撮影にとって、避けては通れないのが防寒対策である。極寒の地で屋外に長時間居るということは、しっかりした防寒対策がなされていないと、落ち着いて写真が撮れないばかりか、長旅の後で疲れていることもあいまって、体調を崩してしまうことにもなりかねない。さらには凍傷という怖い事態を引き起こす危険もある。

前回の撮影旅行では、-25℃というのが経験した最低気温だったが、ある程度ウェアには気を配っていたおかげで、このような低温下の屋外に30分以上いても寒さは感じなかった。
しかし今回は最低-40℃にもなろうかという過酷な環境。このような状態では、息の仕方も気をつけないといけないというような話まで聞いたことがある。

普段パラグライダーで飛んでいる私にとって、飛ぶ時は極寒の場合とはまた違った対策を必要とする。飛ぶ前は20~25kg程もある機材を担いで山を歩き、真冬でもかなり汗をかく。その後、空へ飛び出せばたちまち1000m以上の高度に達することもあり、加えてそれまでに比べて運動量が極端に減る(座っているだけである)ことから、真夏以外はあっというまに体感温度は氷点下となってしまう。体感温度差はわずか数分のうちに、30℃にもなろうかという、ある意味過酷な条件である。この経験から、汗をかいたままというのは驚くほど体温を奪うものであることを強く実感している。そのため飛ぶ時は、レイヤリングという、重ね着の方法をとることにしている。

今回の旅行でも、様々な情報を参考に、極寒地対応のレイヤリングを実施することにした。

アンダーウェア
肌に直接触れるものであるので、非常に重要である。ここでウェアとして第一段階の保温性を確保すると共に、汗を素早く乾かしてくれるものが必要となる。登山用等で新素材を使った高機能なものが数多く出ているので、この中からモンベルのZEO-LINEというシリーズのものを選んだ。前回のラップランドでも高い効果を感じたもので、大変気に入っている。上下ワンセットあれば十分と感じた。なぜなら、元々汗をすぐに乾かす性能が高いために洗濯してもすぐ乾くからだ。よって、低湿度の寒冷地では、部屋に干しておけば翌日のオーロラ鑑賞までには十分乾くのである。もちろん洗濯などしないほうが楽だが、それよりもこれら高機能インナーは大抵高価格である。伸縮性が非常に高く、たためば非常に小さくなるものが多いので、予算に余裕のある方は複数枚用意されるとよいだろうが、私は今回ワンセットで行こうと思う。

ミドルウェア
今回は、フリース素材を使うことにした。厚手でも伸縮性のあるものということで、クリマプラス200という素材のものを選んだ。ここで何枚も着込んで保温性を確保するのも良いが、動きづらくなるのであまり着膨れしない程度にしようと考えている。なぜなら、動きにくい状態では、ウェアの中では意外と汗をかいてしまうため、今度はその汗で体温を奪われてしまうからだ。

アウターウェア
今回はパラグライダーで使用しているワンピースを着る予定である。スキーウェアのように綿が入っているわけでは無いので非常に薄く、しかし防風性があり、脱ぎ着しやすいのが特徴のウェアだ。内側にサスペンダーがついているので、屋内待機時には、上半身を脱いでいてもずり落ちないところが大変気に入っている。

靴下
前回のラップランドでは、靴下を3枚も4枚も重ねて履いておられる方がいらっしゃったが、かなり歩きにくそうだった。そんな中、ここでも登山用などの高機能・新素材系のものが活躍した。今回はさらにフリース素材のオーバーソックスを履いてみようかと思っている。なお、前回足裏に貼るタイプのカイロを使用したが、予想以上に早く効果が無くなってしまった。そんなわけで、今回これを使うかどうか、まだ決めていない。

手袋
今回は、冬にパラグライダーで飛ぶときに愛用している、モンベルの3レイヤーのものを使用する予定だ。これは高機能素材を3層構造としており、前回の-25℃環境下でも寒さを感じなかった高機能のものだ。しかし、これではカメラを快適に操作することは期待できない。手袋を脱いでカメラに触れることは危険だ。なぜなら、金属のものに触れたが最後、取れなくなってしまうとのことらしい。そこで、フィルムなどを扱う時の薄手の手袋をしてから、このグローブをすることにした。

バラクラバ&マフラー
バラクラバとは、いわゆる目出し帽である。前回は持参したが、眼鏡をかけている私にとって、バラクラバをしているとすぐに眼鏡が曇ってしまい、あまり使用しなかった。今回はどうかわからないが、念のため持っていくことにした。また、フリース素材のマフラーは、薄くてかさばらない程度のものを持っていく予定だ。


これは現地でレンタル予定のものを履くつもりだ。このレンタルブーツは、-40℃仕様の強力なブーツであるとのこと。しかし、オーロラの時以外のために、長く愛用しているパラグライダー用ブーツを持参する予定。ビブラムソールなので、滑りやすいところでもとても歩きやすい。オーロラツアーへ行かれて、滑って怪我をされる方が多いことからも、ソールが滑りにくいものを準備しておくことはとても重要だ。

レンタルブーツを履かないとすれば、ここまでの装備ではジョギングも苦にならないほど身軽であるが、その保温性は抜群である。先日0℃の朝、この状態で屋外で1時間ほど撮影してみたが、寒さはまったく感じなかった。
しかしそれも0℃の時の話。あと40℃分の対策が必要となる。そのためさらにこの上に、現地でレンタルできる本格的な防寒着を着ようと思っている。

もちろんこんな準備をしなくとも、現在のイエローナイフのオーロラ鑑賞の環境は、レンタルウェアや施設がとても充実しているため、とても快適だとのことだ。ホテル内で過ごす時の衣服を目安にと説明している業者も有るくらいである。しかし、我々の目的はなんと言っても撮影だ。撮影に集中するためにも、ウェアは可能な限り準備を行った。ただ、やはり-40℃は私にとって未知の環境である。これでは全然足りないということも有り得るが、限られたコストの中では最大限の準備であろうと思っている。

つづく....


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コメント 10

beruden

いつか北欧の自然を旅したいと思っています。
写真撮影の旅支度としてだけではなく、極寒の地への旅支度。
とっても参考になりました♪
by beruden (2008-02-21 14:53) 

IsPhoto

berudenさん
ありがとうございます。
ラップランドは、冬だけでなく、夏もいいらしいですよ。
でもこのとき見た、サイレントブルーと呼ばれる青の光景が忘れられないくらいに、とても素敵でしたよ。
by IsPhoto (2008-02-21 22:40) 

Kimi

素手でカメラに触れると取れなくなっちゃうんですか!!
ぎゃー(;>_<;)
なんて恐ろしい。
そういえば登山かなんかのテレビ番組で、綿のアンダーウェアは
危険だと言っていたのを思い出しました(^◇^;)
by Kimi (2008-02-22 00:09) 

IsPhoto

オーロラを撮っていらっしゃるプロの写真家、田中達也さんの本を読んでいたら、もっとすごいのが載ってましたよ。なんでもカメラの操作をしようと、マグライトをふと口にくわえたところ、舌に張り付いてとれなくなったとか....恐ろしい。^^;
新素材系アンダーウェアは、スキーの時にも活躍しています^^
今回も威力を発揮してくれるとよいのですが....未知数です^^;
by IsPhoto (2008-02-22 00:54) 

Kimi

ぎゃー!!ベロに張り付くなんて(ノ><)ノ ヒィ
考えただけで涙が出てきそう(^◇^;)
今どきの新素材の繊維ってすごいですよね♪
主人が寒い時期のゴルフに行くときにブレスサーモ着てました。
とっても快適なんだそうです。
ものすごく薄くて、ちっちゃく折りたためるのがいいですよね♪
by Kimi (2008-02-22 21:27) 

IsPhoto

Kimiさん
ほんとあったかくていいですよ。
とはいえ、女性のいわゆる”ばばしゃつ”にも新素材多いようですね。
うちの奥さんもいくつかもってるみたいです。
新素材といえば、先日バリスティックナイロンを使ったカメラバック買いました。f.64というものですが、ちょっと重いですが、かなりがっちりしてます。
新素材はすごいですね。
by IsPhoto (2008-02-24 09:56) 

kazz

こちらにもおジャマしに来ました(^^)
通常の撮影では考えられないような環境、やはり経験者は違いますね。
私はいつ行けるのかさっぱりわかりませんが、一度はオーロラ撮影してみたいです。
ただ、うちの奥さんが気温15℃以下になるだけでも寒い寒いとうるさいので・・・(爆)

帰国後のオーロラ写真も楽しみです。
たくさん見せてくださいね(^^)/
by kazz (2008-03-05 14:59) 

IsPhoto

kazzさん
こちらでもよろしくお願いします^^
今回2回目のオーロラ撮影でしたが、ほんとに奥が深いです。
今回もとてもいい経験になりました。
追ってUpしたいと思いますが、仕事が山積です^^;

by IsPhoto (2008-03-08 00:18) 

Takaaki_Naoko

IsPhotoさんもブログ始めていたんですね〜。
最近ソネフォトのみなさんブログ始めるのブームなんですかね、そういう私達もですが(笑)
オーロラを見に行くのが夢なので、機材とか撮影方法すごい興味があります。
今ブログ読みながらフムフムと感動しています。
これからも、体験記&写真楽しみにしていま〜す!
d(^-^)(^O^)
by Takaaki_Naoko (2008-03-09 16:24) 

IsPhoto

Takaaki_Naokoさん
お越しいただきまして、ありがとうございます。
拙文ではありますが、私の体験を書き残して行ければと思っています。
オーロラを見に行くのは、決して夢ではない時代ですよ^^
普通の海外旅行とおんなじですし、彼の地イエローナイフは、オーロラ鑑賞に関してとても優れたシステムになっています。
ぜひ一度見に行ってみてください。虜になりますよ~^^
by IsPhoto (2008-03-09 22:53) 

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