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撮影の難しさ [オーロラ撮影]

オーロラ撮影3日目

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オーロラ撮影に大敵なのは、光害とも言われる町の明かり。肉眼ではほとんど感じないくらいの光でも、オーロラ撮影のように長時間露光をする場合には、驚くほど影響を与えてしまう。この写真は、森を抜けた観測地の一番端の場所から、町の方角を撮影したもので、左下にかなり明るくナトリウムランプの明かりが映ってしまっている。やはり、撮影には限りなく光害の影響の無いところを選ぶことが必要だ。

この日はスタッフの方のお勧めで、観測地へ向かう前にプレリュード湖に寄ることにした。湖畔に到着してみると、凍りついた湖上遠くに、非常に薄いものの、横方向にとても長いオーロラが現れ始めた。しかし湖上はあまりにも寒い。下が氷だからなのか、周りよりも低いために冷気がたまるのか...
大半のメンバーが撮影する中、私はまだ弱いその光を撮影することよりも、バスの中で暖を取りつつ景色を眺めることにした。

なにせ今晩、そして明日の晩と、二夜も元気で撮影しなければならない。体調を崩してしまうことは、撮影が出来ないばかりか、皆に迷惑をかけてしまうことを心配しての行動だった。

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観測地へ移動してしばらくはオーロラも現れず、温かいドームの中でコーヒーをすすりながら、皆と楽しく談笑していた。そろそろ出るかなと思い外に出てみると、弱いオーロラが姿を現し始めた。既に時間は1時を過ぎている。冒頭の写真が、この日一枚目のカットである。南西の方角から現れ始めたオーロラは、我々の頭上へ来ることなく、南東の方向へと伸びていった。次の写真がその南東方向へ伸びた光だ。オーロラの無い真っ暗な空の状態では解らなかったが、オーロラが出て初めて、薄い雲が出ていることに気がついた。このオーロラは予想以上に早足で、我々の視界から消えていった。わずか5~6分の出来事だった。この雲の領域がこれ以上広がらないよう祈りながら、暖かいドームへと戻った。

この日のオーロラ撮影は、正直納得の行く写真が撮れたわけでは無かった。理由は、適正な露出を得られなかった(与えられなかった)ためである。今回撮影するまでは、RAWで撮っておいて後で調整すれば、多少の露出のずれはなんとかなるだろうと、正直たかをくくっていた。しかし、オーロラ撮影においての適正露出とは、予想以上にシビアなものであった。

今回の撮影は、頭で秒数を数えながら結構適当にシャッターを切り、撮った直後に背面液晶モニターで画像を確認することで露出を確認していた。”おぉ、写っている”と言ったレベルでの確認ではあったが、このモニターの画像を信用するということが大きな間違いであったと、この日ホテルに戻ってPCに画像を落とし込んでから初めて気がついた。このことは少し想定してはいたので、モニターの明るさ設定を一番低くしておいたのだが、真っ暗闇で見る背面液晶は思いのほか明るかったため、これら二種類の表示において、オーロラの明るさの差が予想以上に大きかったのだ。

露出オーバーな場合、肉眼では漆黒の闇に見える空が青く表現されてしまう。当然必要以上にシャッタースピードが長いため、細い針の集合体のようなオーロラは、ぼんやりとしたものになってしまう。また、オーロラを透過して輝く星の光がうまく表現できない。
逆に露出アンダーな場合、ノイズが目立ちやすくなったり、オーロラの柔らかなグラデーションが表現できなくなっていた。
いずれの場合も、目で見た感動からはどんどんと遠い印象となってしまう。”絵”を作るという意味では、空が青くてもこれはこれで”絵”になるが、やはり可能な限り目で見たままの印象を伝える写真を撮ることを考えると、これは失敗となってしまう。

撮影画像を後でPC上で見て解ったことは、よっぽどの大ブレークで無い限り、ヒストグラムの真ん中よりもライト側に山は現れないし、また薄いオーロラの場合、同じく1/4から下にしか山は現れないようだ。もちろんこのことが事前に解っていれば、現地で撮影中にも背面液晶でヒストグラムを確認することで、ある程度正確な露出を得られたかもしれないが、オーロラ撮影の場合のヒストグラムの表示と適正露出の間の関係を、初めての撮影であったこともあり、事前に把握することはさすがにできなかった。

こんな経験から、やはりオーロラ撮影にはモバイルPCを持参するのが正解だと実感した。初めてであればなおさら手探りで適正露出を探さなければならず、それを実現する方法として、撮影を終えホテルに戻ってからPC上で最終結果に近い形で画像を確認することが最善だ。もちろん何度も撮影されている方にとってそんなことは必要ないであろうが、私のように初デジタル撮影の場合、初日、2日目と毎日PCで確認することで、後になればなるほど適正な露出を得られるようになってきた。
また、一種のデータバックアップにもなるため、大事なデータを失う危険性を減らすことができる。

この日は3時前あたりからオーロラは現れ始め、時折強い光を躍らせながら、3時半には静かに我々の前から消え去って行った。

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3時過ぎに徐々に強くなる光

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その光は、その後大きくうねるように弧を描いた

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徐々に弱くなる光

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消える直前のオーロラ

<つづく>

本記事は、私がオーロラ撮影において個人的に試した方法を紹介したものであり、オーロラ撮影及び低温下での撮影の、全てのシチュエーションをカバーできるものであるとは限りません。また、機材故障や怪我等を引き起こすなどのリスクもあります。本記事において紹介させて頂きました方法を試みた場合に発生するいかなる損害も、当方では責任を負いかねます。誠に申し訳ございませんが、あらかじめ、ご了承ください。

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コメント 6

Takaaki_Naoko

今晩は〜!
どの写真も壮大で溜息が出てしまいます。
苦労された方が見れる特権ですね〜。
羨ましい!
(^◇^)
by Takaaki_Naoko (2008-10-15 21:24) 

テレマーカー

お、ブログを始められていたとは・・・。
オーロラ・・・。なかなか厳しそうですね・・・。
by テレマーカー (2008-10-16 01:54) 

IsPhoto

Takaaki_Naokoさん
ありがとうございます。
なかなか上手く撮れないからこそ、これがまたハマる原因なのかもしれません。4日目の写真もまたUpします!

by IsPhoto (2008-10-16 23:06) 

IsPhoto

テレマーカーさん
ブログは覚書みたいな感覚で、記録を残しておこうとはじめてみました。
オーロラの撮影は、実はポイントをおさえれば、意外と簡単に写ることは写ります。その反面、そこから先が非常に奥深い印象です。
こうなったのも、カメラの進化が大きな理由ですね。
by IsPhoto (2008-10-16 23:10) 

ルッコラ

IsPhotoさん、お久しぶりです〜〜*^^*
オーロラ〜〜〜〜!!!!!
畏怖をも感じさせる大自然の芸術ですね。
実際に目の当たりにしたら、感動で泣いちゃいそう…@@
IsPhotoさん、素晴らしい写真をありがとうございます!!*^^*
by ルッコラ (2009-02-13 08:45) 

IsPhoto

ルッコラさん
コメントありがとうございます。お久しぶりです!
やはりオーロラの素晴らしさは、実物にはかないませんので、一度見て見られることオススメしますよ~^^
実はこの時行ったメンバーの一部が、まさに今イエローナイフへ行っています。うらやましくて、毎日現地の天気をチェックしています^^;

by IsPhoto (2009-02-13 23:29) 

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