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ありがとうKodachrome [写真]

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とうとう、Kodachromeが生産中止となってしまった。
2006年末には、国内でも「在庫がなくなり次第終了」とのアナウンスが出ていたが、いよいよ世界的にも生産が中止となってしまった。

コダックの名フィルム「コダクローム」、74年の歴史に幕

これらニュースを読み、あらためてKodachromeについていろいろ調べていたところ、大変興味深い記事を見つけた。National Geographicのカバーフォトの中でも特に知られる、Steve McCurry氏撮影の”アフガンガール”も、Kodachromeで撮影されていたのだと今回初めて知った。
http://homepage.1000words.kodak.com/default.asp?item=2388083

”コダクローム”と言えば、ポジフィルムとしては誰もが認めるものだった。その後FUJIのベルビアなどにだんだんと人気が移って行ったようだが、僕は一種の憧れを持って、フィルムはKodakを選んでいたように記憶している。しかしその頃は学生で、写真にかけられるお金もわずかだったので、現像代まで考えると大量に使う訳にはとてもいかなかった。やっと手にしたKodachromeをつめて被写体に向かうと、いつも納得いくまで考え抜いてから大切にシャッターを切っていたように思う。

もうフィルムでは3年くらい撮っていない僕が言うのもおかしいが、やはりKodachrome生産終了のニュースは、憧れの一つを失うようなとても残念な気持ちだ。そんなことを考えていると、以前撮影したKodachromeを見てみたいと思い、梅雨の合間の暑い夜、大量の汗をかきながら押入れの一番奥の箱をようやくひっぱり出してきた。この箱には今までのいろんな撮影の思い出が詰まっているのだ。
ビューアーにスライドマウントを載せてみると、そこに現れた鮮やかな色に軽い衝撃を感じずにはいられなかった。

当時から、Kodachromeは保存性が高いということも高く評価されていたことは十分わかっていたつもりだった。しかしもう何年も箱の中に入れっぱなしだったにもかかわらず、鮮やかさをいまだ保っていたのには正直驚いた。古いものは25年も前のものだ。

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草原でオートバイに乗る友人


この写真も25年ほど前のもの。箱の中にあったプリントされた他の写真は、色あせしていてどれも年代を感じさせるが、Kodachromeのその色は、現像直後のそのままのようにも感じられた。

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1991年 石垣島


小さなスライドマウントの中にある鮮やかな色は、あの時みんなで過ごした忘れられない時間の、そのまさにまっただ中に放り込まれたのかと錯覚するような、日没近いあのまぶしい太陽の光を確かに残していた。

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一枚目の写真をビューアーの上から俯瞰で撮影。ほぼそのまま書き出している。鮮やかな色が今もしっかりと保持されていることがよくわかる。性能の良いスキャナーでスキャンしてみたいものだ。

今回の生産中止のニュースを受けて、Kodachromeの偉大さをあらためて感じたような気がした。
世界中のあちこちで、同じ思いを感じている人はいったいどのくらいいるのだろう。
僕の言葉は、一言、”ありがとうKodachrome”



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コメント 10

mari-go

まったく知らなかった世界ですけど^^

忘れかけていた思い出が蘇るような...
新しいものが理解できぬままどんどん押し寄せる現代と
子供の頃のほのぼのな記憶とが交差して
とっても大事だったものがいつのまにか無くなっていって
なんて一人の世界にひたりたくなるような本日の記事でした(*^_^*)

今日の写真達
黄色の縁取りがあったら
カンペキ表紙飾ってますネ

ところでとっても記憶に残ってるのが
沖縄のワンチャン!!
元気なのかなぁ!?
by mari-go (2009-06-25 02:43) 

がぁこ

Kodachromeが終了っていうのよそ様のところでも見ました^^
拘りの多い人が使ってるフィルムのようで残念ですね(>.<)

by がぁこ (2009-06-25 10:49) 

IsPhoto

mari-goさん
ほんとですね、一つ一つ思い出深いものが姿を消して....
残念ですが、新しく素晴らしいものも出てきますし...

沖縄のワンチャンたちはみんな元気なようですよ!
年に1回行くか行かないかなのに、車で到着すると覚えているのかいないのか、ドアを開けた瞬間に運転席に飛び込んで来ます。^^

by IsPhoto (2009-06-25 18:50) 

IsPhoto

がぁこさん
そうなんですよ〜、なんとも寂しい限りでして....
ま、需要が激減している現代では、仕方ないことですね。
デジタルの世界でも、”味”のあるものがどんどん出て来てほしいものです。
by IsPhoto (2009-06-25 18:52) 

雅

昨日は当ブログへ訪問いただき、ありがとうございました。
コダクローム、自分も随分昔に何度か使ったことありました。
ネガフィルムより発色がきれいだった、という記憶があります。
全く使ってなかったとはいえ、なくなるのは寂しいものですね。
by (2009-06-26 21:43) 

IsPhoto

雅さん
コダクロームは、ほんとにいい色を出すフィルムでした。
私も沖縄にいるころに、花とか夕日とかをたくさん撮りました。
今一度フィルムで撮ってみたいなと思った次第です。

by IsPhoto (2009-06-27 08:25) 

テレマーカー

写真を始めたばっかりのころ、コダクロームが高くて惜しむようにシャッターを切っていました。ベルビアの鮮度と違う、独特の渋い発色。コダックはエクタのパステル発色っぽいのが嫌だったけれど、コダクロームは別物でした。
特に古い木造建築の木肌の質感はよかったです。
発色乳剤をフィルムに含まず現像過程で投入するからか、雪でも透明感が高かった・・・。
確かにデジタル移行後は趣味でもフィルムでは撮らなくなりましたけど、ひとつの時代が過ぎたようで寂しいですね。
PKRがなくなり、KRだけとなってからは余計にコダクロームから遠ざかってしまいましたが、もう一度、撮ってみたいフィルム。
数多くあったフィルムの中で、そう思わせるフィルムでした。

ありがとうKodachrome
私もそう思います。
by テレマーカー (2009-07-02 21:14) 

IsPhoto

テレマーカーさん
なるほど、雪ですかぁ....
私がKR使っているころは、南の方に住んでいて、雪は無かったですから、その描写に大変興味があります。透明感が高いというのは、なんだかわかる気がします。私の方はというと、その頃は真っ赤なハイビスカスとか撮ってました。^^

ほんと、こうなってしまうとなおさらに、もう一度撮ってみたいと思いますね。
今回久しぶりに引っ張り出して、保存性の良さにとにかく驚きました。数えてみたら、バイクの写真なんてなんと27年前ですから....

ところでもう一つ今回気がついたのですが、本土で現像に出したものは、Processed by Far East laboratoriesってマウントに書いてありますが、沖縄で出したのは、Processed by Kodakって書いてありますね。

by IsPhoto (2009-07-02 21:33) 

sig

コダクローム生産中止ですか。
ちょっと大事なものをとりたいときは、私も奮発してコダクローム、エクタクロームを使いました。
私の最近のブログで30年ほど前のコダクローム写真を掲載しました。
ロタ島に行ったときのものです。ほとんど退色していません。
もしよろしかったらご覧ください。画面左の記事一覧で、ロタ関係は3本の連載記事になっています。
by sig (2009-07-18 10:32) 

IsPhoto

sigさん
ロタの写真拝見しました。
ほんとしっかり色が残っていますね。
昔は基本はネガでしたが、ちゃんと撮る時にはKRでしたね。
ネガに比べて露出はシビアなので、1カットごとにかなりじっくり撮っていた印象があります。

by IsPhoto (2009-07-19 08:25) 

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